L それはきっと祖母の影響です。私は子どもの頃、よく祖父母と一緒に過ごしました。特に祖母は絵を描くことやクラフトが好きでした。祖父母の家やサマーハウスを訪ねるといつも、祖母はたくさんの紙や鉛筆などが入った箱を持ってきて「さあ、今日は何をする?」と声をかけてくれて、一緒に絵を描いたり、工作をしたり、押し花をしたりして過ごしました。
L 一緒に遊ぶだけではなく、彼女は具体的なアドバイスもくれました。私の子どもの頃の夢は、アーティストまたはカラフルなフルーツが並ぶ果物屋さんだったのですが、あるとき、祖母が「ロッタ、あなたは美術大学に行ったらどうかしら?」と言ったのです。当時はまだ小さくて、美術大学がどういうところなのかわかっていなかったのですが、小学生の頃から、私の心の中では「いつか美術大学に行ってみたい!」という気持ちが育っていきました。そして、フィンランドでは9年生(15歳)で後期中等教育を受け始めるのですが、私はヘルシンキの美術学校でスクリーンプリンティングのコースをとり、初めてテキスタイルデザインを学びました。今度はそこで出会った先生が大学でテキスタイルデザインを学ぶよう勧めてくださったのです。
――子どもの頃、他に好きなことはありましたか。
L スポーツも大好きで、フィギュアスケートやシンクロナイズドスケーティングは特に夢中になりました。父がアイスホッケーの選手だったので、その影響で小さい頃からスケートをやっていました。父はよく「ロッタは歩くよりも前にすべっていた」なんて言うんです(笑)。12歳のときに、フィギュアスケートからサッカーに転向し、没頭しました。私にはアートとスポーツの両方とも欠かせなくて、バランスよく楽しんでいます。
L さすがにミーティングにすべての絵を持っていくことはしませんでしたが、用意したスケッチをもとに、2020年のマリメッコのスプリングコレクションのための3つのフラワープリント「Apilainen アピライネン」「Tähtiniitty ターッティニットゥ」「Tuulahdus トゥーラフドゥス」が生まれたのです。
L 日本で暮らしている間に気づいたことがあります。花はとても美しくデリケートでありながら、それと同時にとても強いということ。フィンランドでは、夏が短く冬が長いため、花の成長はとってもゆっくりです。冬の間、土は雪や氷に覆われるので、植物は土の中で眠っています。一方、日本では1月でも花が咲きます。今回の日本滞在中に、白や黄色の水仙の花を見ました。フィンランドでは水仙は4月に咲くものなので、それが1月に咲くなんて、とても興味深いです。