Illustration by Asako Aratani
第1回 マリアンネ・フオタリさん
インタビューを終えて、kukkameriの二人がそれぞれ感じたことを言葉と絵で表現します。
“迷うことなくまっすぐ前を見つめ、
花のように輝き続けるアーティスト”
新谷麻佐子
実際にマリアンネさんに会ってみると、とっても小柄で、その小さなからだのどこに、これほど手間と時間のかかる作品を、時には自分のからだよりも大きな作品を、生み出すパワーが隠されているのかと驚きました。迷うことなくまっすぐ前を見つめ、突き進む姿は、凛としていて彼女自身がまさに花のよう。
マリアンネさんの「野生の花が一番美しい」という言葉も印象的でした。フィンランドの人たちにとって、自然は身近なもの。すぐそばに森があり、足元には小さな花がそっと輝きを放っている。家の周りには、大輪の花が咲き誇っている。といってもよく手入れをしているという感じでもなく、ごくごくナチュラルに。そんなフィンランドの当たり前の夏の景色が懐かしく思い出されました。
“強い意志を持って咲く、可憐な花々”
内山さつき
マリアンネさんの作品を見たとき、まずそのやわらかな色彩に惹きつけられました。
陶器ということもあり、パステルカラーのやさしげな色の花たちはどこか儚さを湛えているようにも思えました。
でも、より近くで見たとき、その印象は少し変わりました。
可憐な花たちは、やがて実になるであろう雄蕊や雌蕊、つややかな花びらを一心に開かせていて、
遠くで見たときの印象よりずっといきいきと力強く、生命力に満ちていたのです。
マリアンネさん自身も、可憐でいてまっすぐな眼差しを持つ、力強さを感じさせるアーティスト。
リュイユをモチーフにした作品のように、膨大な数の小さなパーツを組み合わせて作り上げる大きな作品は、長い時間と途方もない気力を要するものです。
そんな大作に挑みながら、陶器のパーツを扱うマリアンネさんの手元はあくまで優雅で、パーツ同士が触れるときのカラカラ……、という音は軽やかでまるで音楽のようなのでした。
繊細さと力強さ、儚さと永遠は、同時に内包されうるものなのだと、マリアンネさんの作品は教えてくれました。
「花は風に煽られても美しい力強さがある」。
そう語るマリアンネさんのきらきらした目を見ながらインタビューを聞いていたら、いつか見に行きたいと夢見ているラップランドの夏の光に揺れる白いワタスゲの花々が、まるで今目の前にあるかのように瞼に浮かびました。